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屈折検査


屈折検査 (Vision correction inspection:英)

屈折検査には、「自覚的検査法」と「他覚的検査法」があります。
検査の目的など「スクリーニング」(主として弱視を早期発見するための検査)と「精密屈折検査法」があり被検者の年齢など「小児の屈折検査法」と「成人の屈折検査法」に分かれます。
屈折障害の原因については、遺伝的要因の他は未だ解明されていませんが、屈折障害となる近視・遠視・乱視・不同視など、視力検査を行う上で重要な検査となります。

屈折検査の目的
・屈折異常の有無と程度の把握: 近視、遠視、乱視の正確な度数を測定し、見えにくさの原因を特定します。
これは眼鏡やコンタクトレンズの処方に不可欠な情報です。
・眼疾患の早期発見: 特に乳幼児や小児の場合、自分で見えにくさを訴えることが難しいため、屈折検査は弱視や斜視などの視力発達に影響を与える疾患を客観的に見つける重要な手段となります。視力は6〜8歳頃までに完成すると言われており、この時期までに異常を発見し、適切な治療を開始することが将来の視力にとって非常に重要です。
・眼疾患の診断・経過観察: 白内障や緑内障などの眼疾患によって屈折度が変化することもあるため、診断や治療効果の確認にも用いられます。

屈折検査の種類と方法
屈折検査には、患者さんの自覚を必要としない「他覚的屈折検査」と、患者さんの応答が必要な「自覚的屈折検査」があります。

他覚的屈折検査(客観的に度数を測定)
機械や検査者が客観的に目の度数を測定する方法です。

オートレフラクトメーター(オートレフ)
・眼科や眼鏡店で最も一般的に使用される機器です。
・顎を台に乗せて機器の中を数秒見つめるだけで、近視・遠視・乱視の度数や角膜のカーブ(曲率)を自動的に測定します。
・ 短時間で測定でき、患者さんの負担が少ないのが特徴です。

ハンディータイプのオートレフラクトメーター(例:スポットビジョンスクリーナー)
乳幼児向けの小型機器で、子どもが椅子に座ったり、親に抱っこされた状態で、機械を覗き込まずに数秒から数十秒で測定が可能です。暗い部屋で少し離れた場所から光を見るだけで測定できるため、乳幼児健診などでのスクリーニング検査に広く活用されています。

レチノスコープ(検影法)
・検査者が患者さんの目に光を投影し、レンズを組み合わせて網膜にピントが合う点を探る方法です。
・熟練した検査者が行えば、オートレフラクトメーターよりも正確な測定ができるとされており、特に乳幼児や意思疎通が難しい患者さんの検査で重要視されます。

自覚的屈折検査(患者さんの応答で度数を決定)
患者さん自身が「見えやすい」と感じる度数を見つける方法です。
・視力検査: 他覚的屈折検査で得られた値を参考に、視力表と検眼レンズ(レンズが複数枚入った枠)を用いて、実際にどの程度の視力が出るかを確認します。様々な度数のレンズを入れ替えながら、最も見えやすい度数を探します。
・両眼開放屈折検査: 片目を隠さずに両目を開けたまま、通常の見え方に近い状態で検査を行います。より自然な状態で最適な度数を見つけることができます。

屈折検査の注意点
小児の場合の調節麻痺薬(散瞳薬)使用
・小児は目のピントを合わせる力(調節力)が非常に強いため、通常の検査では本来の屈折度よりも近視が強く出たり、遠視が見逃されたりすることがあります。
・そのため、正確な屈折度を測定するために、**調節麻痺薬(散瞳薬)**という目薬を点眼し、一時的に調節機能を休ませてから検査を行うことがあります。この点眼は「サイプレジン検査」などと呼ばれます。
・調節麻痺薬を使用すると、点眼後しばらくの間、瞳孔が開いてまぶしく感じたり、近くのものがぼやけて見えたりする副作用があります。効果が切れるまでには数時間から数日かかることがあります。
・乳幼児の場合、ごく稀に発熱や顔面紅潮などの副作用が出ることがあるため、自宅で点眼する際は医師の指示をよく守り、注意が必要です。

検査時の協力
 特に小さなお子さんの場合、検査中にじっとしていられなかったり、泣いてしまったりすると、涙で正しく測定できないことがあります。その場合は、日を改めて検査を行うこともあります。

屈折検査でわかることと診断
屈折検査の結果から、以下のような目の状態や疾患の可能性がわかります。
・近視: 遠くのものがぼやけて見える状態です。
・遠視: 近くのものがぼやけて見えることが多く、程度によっては遠くもぼやけて見える状態です。特に小児の遠視は、視力の発達を妨げる原因(弱視)となることがあります。
・乱視: ものが二重に見えたり、歪んで見えたり、ぼやけて見えたりする状態です。角膜や水晶体の形状の歪みによって起こります。
・弱視: 屈折異常が原因で、適切な時期に視力の発達が促されなかったため、眼鏡やコンタクトレンズで矯正しても十分な視力が出ない状態です。早期発見・早期治療が非常に重要です。
・斜視: 片目の視線がずれている状態です。屈折異常が原因で起こることもあります。
屈折検査で異常が指摘された場合は、詳細な眼科検査に進み、必要に応じて眼鏡処方や治療(弱視訓練など)が行われます。お子さんの場合、見え方に問題がないように見えても、定期的な眼科検診や屈折検査を受けることで、目の異常を早期に発見し、適切な対応をすることが大切です。


他覚的検査方法
眼科における他覚的検査とは、患者さん自身の「見える」「見えない」といった主観的な応答を必要とせず、医療従事者が機械や器具を用いて客観的に目の状態を測定・評価する検査のことです。
これに対して、患者さんの応答を必要とする検査を自覚的検査と呼びます。例えば、視力検査で「Cのマークの開いている方向はどちらですか?」と尋ねる検査は自覚的検査にあたります。

他覚的検査は、特に乳幼児や意思表示が難しい方、あるいは客観的なデータが必要な場合に重要な役割を果たします。
眼科における主な他覚的検査には、以下のようなものがあります。

他覚的屈折検査(オートレフケラトメーター)
・通称「オートレフ」と呼ばれ、眼科でよく見かける「気球の絵」などを覗き込む検査です。
・機械が自動的に、近視、遠視、乱視といった目の屈折状態(ピントが合う度数)を測定します。
・この検査で得られた数値は、その後の自覚的屈折検査(視力検査)の参考にされます。
・ 子どもの弱視の早期発見のために、3歳児健診などで導入する自治体も増えています。

細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査
・目に光を当てて拡大して観察する検査で、目の表面(角膜、結膜など)や、水晶体、虹彩などの前眼部、さらには特殊なレンズを用いることで目の奥(眼底)まで詳細に観察できます。
・目の傷の有無や程度、白内障や緑内障の進行具合などを確認します。
・コンタクトレンズのフィッティング確認にも用いられます。

眼圧検査
・眼球の硬さ(眼圧)を測定する検査です。
・主に緑内障の早期発見や経過観察に用いられます。空気を吹き付けて測定するタイプや、直接測定するタイプなどがあります。

眼底検査
・目の奥にある網膜や視神経乳頭などを観察する検査です。
・倒像鏡や細隙灯、または眼底カメラなどを用いて行われます。
・緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性など、失明に繋がる可能性のある病気の早期発見や診断に非常に重要です。瞳孔を開く目薬(散瞳薬)を使用することもあります。

他覚的定量眼位検査(カバーテストなど)
・目の位置のずれ(斜視)を客観的に評価する検査です。
・プリズムや遮閉板を用いて、斜視の種類や程度を測定します。

これらの他覚的検査は、患者さんの協力を必要とせずに目の状態を把握できるため、正確な診断や治療方針の決定に不可欠な情報を提供します。


自覚的検査
眼科における「自覚的検査」とは、患者さん自身の応答や感覚に基づいて行われる検査のことです。
患者さんが「見える」「見えない」「はっきりする」「ぼやける」といった主観的な情報を伝えることで、医師や検査技師が目の状態を評価します。これに対し、「他覚的検査」は、患者さんの意思表示を必要とせず、機械や検査者の観察によって客観的に目の状態を測定する検査です。

「自覚的検査の主な種類と目的」
眼科の自覚的検査には、主に以下のものがあります。

「視力検査」(自覚的屈折検査)
目的: 遠視、近視、乱視といった屈折異常の種類や程度を測定し、最適な矯正度数を決定することです。

方法: 視力表(ランドルト環や文字視標)を用いて、患者さんにどの記号がどの方向を向いているか、あるいはどんな文字が読めるかなどを答えてもらいます。検眼枠に様々な度数のレンズを入れ替えながら、最もよく見える度数を探します。

他覚的検査との違い:
他覚的屈折検査(オートレフラクトメーターなど)で大まかな屈折度数を測定した後、その結果を参考に、最終的に患者さんの見え方を確認しながら、より細かく度数を調整するのが自覚的屈折検査です。

「視野検査」
目的: 見える範囲(視野)の広がりや、光の感度を測定し、視野の異常(欠損など)がないかを確認します。緑内障などの病気の診断や進行度合いの評価に非常に重要です。

方法
・静的視野検査(ハンフリー視野検査など): 暗室の中で一点を見つめ、視野の様々な位置に点滅する光が見えたらボタンを押すことで、視野の感度を細かく測定します。
・動的視野検査(ゴールドマン視野検査など): 視野計の中心を見つめながら、周辺から動いてくる光が見えたら合図することで、見える範囲の広がりを測定します。

「色覚検査」
目的: 色の識別能力に異常がないかを確認します。色覚異常の有無や程度を調べます。

方法: 石原式色覚検査表(数字や図形が様々な色の点の集合で描かれているもの)などを用いて、患者さんに何が見えるかを答えてもらいます。

「自覚的検査の重要性」
自覚的検査は、患者さん自身の「見え方」という主観的な情報を得られるため、眼鏡やコンタクトレンズの処方において、患者さんが快適に感じる最適な度数を決定する上で不可欠です。また、視野検査のように、患者さんの症状や自覚症状を直接的に把握するために重要な役割を果たします。ただし、目の病気の中には、初期の段階では自覚症状が乏しいものもあるため、自覚的検査だけでなく、他覚的検査や医師の診察を組み合わせて総合的に診断が行われます。