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矯正視力検査


矯正視力検査 (visual acuity testing:英)

矯正視力検査は、眼鏡やコンタクトレンズなどの視力矯正器具を装用した状態で測定する視力検査です。
この検査の目的は、現在の矯正方法が適切かどうか、そして、眼鏡やコンタクトレンズによってどれくらいの視力が得られているかを確認することです。

矯正視力検査の重要性
・ 矯正効果の確認: 作成した眼鏡やコンタクトレンズが、患者さんにとって十分な視力を得られているかを確認します。矯正度数の評価: 現在使用している眼鏡やコンタクトレンズの度数が、患者さんの目の状態に合っているかを評価します。度数が合っていない場合、視力低下だけでなく、眼精疲労や頭痛の原因になることもあります。

視機能の評価
矯正された状態で、日常生活に必要な視機能(例えば、遠見視力、近見視力、両眼視機能など)が十分に確保されているかを確認します。
・免許更新などの基準: 運転免許の更新など、特定の視力基準を満たしているかを確認するために行われます。
・治療効果の判定: 視力矯正治療(オルソケラトロジーなど)の効果を評価するために行われます。

矯正視力検査の方法
眼鏡またはコンタクトレンズの装用: 患者さんは普段使用している眼鏡またはコンタクトレンズを装用します。
検者は、遠見視力または近見視力のための視力表(ランドルト環やひらがななど)を に提示します。
・視標の判読: 患者さんは、見える最も小さい視標を順番に答えます。
・左右別および両眼での測定: 通常、右目、左目をそれぞれ片眼ずつ測定した後、両眼で同時に測定します。
・記録: 判読できた最も小さい視標に対応する視力が記録されます。

矯正視力の結果の見方
矯正視力の結果は、裸眼視力と同様に、小数または分数で表されます。
・1.0: 正常な視力とされています。
・0.7: 日常生活に支障がない程度の視力とされることが多いですが、運転免許の取得や更新にはより高い視力が必要な場合があります。
・0.3: かなり視力が低下している状態です。
矯正視力が十分に出ていない場合、以下の原因が考えられます。
矯正度数が合っていない: 眼鏡やコンタクトレンズの度数が、現在の目の状態に合っていない可能性があります。

眼鏡やコンタクトレンズの状態が悪い
レンズに傷や汚れがある、フレームが歪んでいるなどが原因で、十分な視力が得られないことがあります。

目の病気
屈折異常だけでなく、他の目の病気(白内障、緑内障、網膜疾患など)が視力低下の原因となっている可能性もあります。
矯正視力検査で十分な視力が得られない場合は、再度、屈折検査やその他の必要な検査を行い、原因を特定し、適切な対応(眼鏡やコンタクトレンズの再調整、治療など)を行う必要があります。
定期的な矯正視力検査を受けることで、常に快適な視生活を送ることができます。特に、視力に変化を感じた場合や、眼鏡やコンタクトレンズの装用感が変わった場合は、早めに眼科を受診しましょう。
屈折異常について
屈折異常とは、目に入ってきた光が角膜と水晶体で屈折する際に、網膜上で一点に焦点を結ばず、像がぼやけてしまう状態の総称です。正視と呼ばれる、焦点が網膜に正確に合う状態に対して、屈折異常があると、遠くや近くのものがはっきりと見えなくなります。

屈折異常の種類
主な屈折異常には以下のものがあります。
近視: 眼球が前後に長い、または角膜や水晶体の屈折力が強すぎるため、焦点が網膜の手前で結ばれます。近くの物は見えやすいですが、遠くの物がぼやけて見えます。

遠視
眼球が前後に短い、または角膜や水晶体の屈折力が弱すぎるため、焦点が網膜の後ろで結ばれます。
軽い遠視の場合は、調節力でピントを合わせられるため遠くが見えることもありますが、強い遠視や調節力が低下した状態では、近くも遠くも見えにくいことがあります。

乱視
角膜や水晶体の表面が (正球形)ではなく、歪んでいるために、光が網膜上で一点に焦点を結ばず、像がぼやけたり、歪んで見えたりします。近視や遠視と合併することも多くあります。

老視(老眼)加齢に伴い、水晶体の弾力性が失われ、ピントを合わせる調節力が低下することで、近くの物が見えにくくなる状態です。一般的に40歳代から症状が現れ始めます。

屈折異常の症状
屈折異常の種類によって主な症状は異なりますが、一般的には以下のような症状が現れることがあります。
・遠くのものがぼやけて見える(近視)
・近くのものがぼやけて見える(遠視、老眼)
・遠くも近くも見えにくい(強い遠視)
・物が二重に見える、歪んで見える(乱視)
・ピントが合うまでに時間がかかる
・目を細めて見ようとする
・頭痛、眼精疲労、肩こり
・集中力の低下

屈折異常の原因
屈折異常の原因は、主に以下の2つに分けられます。

眼球の形状の異常:
・眼軸長(眼球の奥行きの長さ)が正常よりも長い(近視)または短い(遠視)。
・ 角膜や水晶体の表面のカーブが (正球形)でない(乱視)。

屈折力の異常
・角膜や水晶体の屈折力が正常よりも強い(近視)または弱い(遠視)。
・ 加齢による水晶体の硬化(老眼)
遺伝的な要因や、成長過程での目の発達、環境要因(近距離作業の習慣など)も屈折異常の発症や進行に関与すると考えられています。

屈折異常の検査方法
屈折異常の有無や程度を調べるためには、眼科で以下のような検査が行われます。
・視力検査: 裸眼視力と、矯正視力(眼鏡やコンタクトレンズを装用した状態での視力)を測定します。
・屈折検査(他覚的屈折検査、自覚的屈折検査):
・ 他覚的屈折検査: オートレフラクトメーターという機械を用いて、自動的に目の屈折力を測定します。
・ 自覚的屈折検査: 検者が様々な度数のレンズをに提示し、最も見やすいレンズを選んでもらうことで、正確な屈折度数を決定します。
・細隙灯顕微鏡検査: 角膜、水晶体などの目の前部の状態を詳しく観察します。
・眼底検査: 網膜や視神経の状態を観察し、他の目の病気がないかを確認します。
・調節機能検査: ピントを合わせる目の筋肉の働きを調べます(特に老眼の評価に重要です)。
これらの検査結果に基づいて、適切な視力矯正方法が検討されます。ご自身の見え方に不安がある場合は、早めに眼科を受診し、詳しい検査を受けることをお勧めします。

眼疾患の早期発見
矯正しても視力が十分に上がらない場合、白内障や緑内障、網膜の病気など、目の病気が隠れている可能性を示唆します。
これは、眼底検査や視野検査などの精密検査を行うきっかけとなります。

目の「見る力」の評価
屈折異常を矯正した状態で、目がどれくらいの見る力を持っているかを評価します。
「裸眼視力(らがんしりょく)」

裸眼視力は、メガネやコンタクトレンズなどの矯正器具を使用しない状態での視力を指します。英語では "naked eye vision" や "unaided vision" と表現されます。日本における平均的な裸眼視力に関する統計データは変動するため、一概に平均値を出すことは難しいです。しかし、近年の研究では、特に若い世代を中心に近視の割合が増加傾向にあり、裸眼視力が低い人が多いと考えられています。
運転免許の取得に必要な視力としては、一般的に両眼で0.7以上、片眼でそれぞれ0.3以上とされています。
もし片眼の視力が0.3に満たない場合は、もう一方の眼の視力が0.7以上であること、そして左右150度以上の視野が必要です。

裸眼視力に影響を与える要因
・目の健康状態: 白内障などの目の病気は視力に影響を与えます。
・視力(視覚の鮮明さ): 近視、遠視、乱視などの屈折異常があると、裸眼での視力は低下します。
・年齢: 一般的に、加齢とともに視力は変化する可能性があります。裸眼視力について
・測定方法: 一般的な視力検査では、5メートル離れた視力表(ランドルト環という「C」のようなマークや、ひらがななどが書かれた表)を見て、どの大きさの視標まで識別できるかを測定します。上から順に小さな視標を見ていき、上下左右の切れ目を正しく答えられた最も小さい視標の段が、その人の裸眼視力となります。

正常値の目安:
一般的に、裸眼視力が1.0以上あれば、日常生活に支障のない良好な視力とされています。ただし、0.7以上あれば許容範囲とされることもあります。0.7未満の場合は、近視や乱視などの屈折異常の可能性が考えられます。
裸眼視力は、視力矯正が必要かどうかを知るための目安になります。しかし、眼科の診療においては、眼鏡やコンタクトレンズで矯正した矯正視力の方が、目の本来の機能や状態を評価する上でより重要視されます。

矯正視力との違い:
・裸眼視力: 矯正器具なしの、そのままの視力。
・ 矯正視力: 近視、遠視、乱視などの屈折異常を眼鏡やコンタクトレンズで矯正した状態で測定する視力。
目の持つ最高の視力を示します。屈折異常がない場合は、裸眼視力と矯正視力はほぼ同じになります。

裸眼視力が悪い原因
裸眼視力が悪い主な原因は、屈折異常です。
・近視: 角膜や水晶体の屈折力が強すぎるか、眼球が前後に長いために、網膜の手前で焦点が合ってしまう状態。
・遠視: 角膜や水晶体の屈折力が弱すぎるか、眼球が前後に短いために、網膜の後ろで焦点が合ってしまう状態。
・乱視: 角膜や水晶体の表面が (正球形)ではなく、歪んでいるために、焦点が一点に結ばれない状態。
・老視(老眼): 加齢により水晶体の調節力が低下し、近くのものにピントが合いにくくなる状態(遠くの視力には影響しないことが多いです)。その他、目の病気(白内障、緑内障、網膜疾患など)によって視力が低下することもあります。



検査方法
矯正視力検査は、通常、以下の手順で行われます。
予備検査 オートレフケラトメーターについて《/太字オートレフケラトメーター検査は、眼科で行われる基本的な検査の一つで、近視、遠視、乱視といった屈折異常の度合いと、**角膜の形状(特にカーブ)**を客観的に測定する装置です。
「オートレフ」はオートレフラクトメーター(自動屈折計)の略、「ケラト」はケラトメーター(角膜曲率計)の略で、この二つの機能を一台に備えているため、「オートレフケラトメーター」と呼ばれます。

オートレフケラトメーター検査の目的
この検査の主な目的は以下の通りです。
・ 屈折異常のスクリーニング: 近視、遠視、乱視の有無やおおよその度数を迅速に把握します。
・視力検査の基礎データ: 自覚的な視力検査の際の、適切なレンズ度数を決めるための参考データを提供します。
* 眼鏡やコンタクトレンズ処方の補助: 測定された屈折度数と角膜のカーブは、眼鏡やコンタクトレンズの度数を決定する際の重要な情報となります。特にコンタクトレンズの場合、角膜のカーブはレンズのフィット感を左右します。

角膜の評価
角膜の形状を測定することで、角膜の歪み(不正乱視など)や、円錐角膜といった疾患の早期発見に繋がることもあります。
白内障などの評価:
眼底からの反射光を解析することで、水晶体の濁り(白内障)の程度を間接的に評価できる機種もあります。
調節機能の評価: 近年では、調節力を測定できる機能が搭載された機種もあり、目のピント合わせの力を評価することができます。

オートレフケラトメーター検査の方法
検査は数分で終了し、痛みなどを伴うことはありません。


仕組み

私たちの目は、角膜や水晶体といったレンズの役割を果たす部分で光を屈折させ、網膜上に像を結ぶことで物を見ています。

近視
網膜の手前で像が結ばれてしまう状態です。凹レンズ(マイナス度数)を用いて光の焦点を奥にずらし、網膜上に像が結ばれるように矯正します。

遠視
網膜よりも奥で像が結ばれてしまう状態です。凸レンズ(プラス度数)を用いて光の焦点を手前にずらし、網膜上に像が結ばれるように矯正します。

乱視
角膜や水晶体のカーブが一定でなく、光が一点に集まらない状態です。乱視用レンズ(円柱レンズ)を用いて、光の屈折方向を調整し、像を網膜上にきれいに結ぶように矯正します。

矯正視力検査は、これらの屈折異常を光学的なレンズによって補正することで、網膜に鮮明な像を結ばせ、その人が持っている本来の視覚能力を引き出すための重要な検査です。
両目で正しくみるための検査
「両眼で正しく見る」ための検査は、単に視力だけでなく、両方の目が協調して機能しているか、立体感や遠近感を正しく捉えられているかなどを評価するものです。これらの検査は、眼科や一部の眼鏡店で専門的に行われています。
主な検査の種類としては、以下のようなものがあります。

両眼視機能検査の重要性

脳と目の連携
目から入った情報は脳で統合・処理されて初めて「見える」という認識に至ります。
両眼視機能検査は、左右の目だけでなく、目と脳の連携が正常に機能しているかを評価します。
・快適な視生活: 両眼視機能に問題があると、目の疲れ、肩こり、頭痛、集中力の低下、読み書きの困難、運動能力の低下など、様々な不調を引き起こすことがあります。適切な検査と処置によって、これらの症状の改善が期待できます。
・深視力・立体感の評価: 自動車の運転免許(特に大型・二種免許)に必須の深視力(遠近感・立体感を測る能力)は、両眼視機能に直結するものです。
・小児の視覚発達: 小児の場合、斜視や弱視の早期発見・早期治療に不可欠です。両眼視機能の発達は6歳頃までにほぼ完成すると言われており、この時期の検査が非常に重要です。

両眼視機能検査の目的
・遠近感や立体感の評価: 左右の目から入るわずかに異なる情報を脳が統合することで、私たちは物の奥行きや立体感を認識しています。この機能が正常に働いているかを確認します。
・眼位のズレ(斜視・斜位)の有無と程度: 左右の目の視線が目標物に正確に合っているか、ズレがないかを確認します。斜視や斜位があると、物が二重に見えたり、疲労感が生じたりすることがあります。
・目の協調運動の評価: 左右の目が連携してスムーズに動いているか、ピント合わせ(調節)や目を寄せる(輻輳)といった機能が正常に働いているかを調べます。
・視機能の改善: これらの検査結果に基づいて、適切なメガネの処方(特にプリズムレンズの活用)や、必要に応じてビジョントレーニングなどを提案し、快適な視生活をサポートします。
・乳幼児の視覚発達評価: 特に小児の場合、弱視や斜視の早期発見・早期治療のために重要な検査です。
両眼視機能検査の種類と方法
両眼視機能検査には様々な種類があり、目的や症状に応じて組み合わせて行われます。
左右の目で見た情報を脳で統合する、両眼視機能。この検査では、その働き具合を詳しく調べます。
具体的には、以下のような項目を評価することがあります。
・視力: 左右それぞれの視力はもちろん、両目で見たときの視力も測定します。
・眼位: 左右の目の位置関係を調べ、ずれがないか、斜位がないかなどを確認します。
・ 眼球運動: 左右の目がスムーズに連動して動いているか、注視や追跡運動に問題がないかを調べます。
・輻輳・開散: 目を内側や外側に寄せる力(輻輳)、外側に開く力(開散)を測定します。近くのものを見る際に重要な機能です。
・立体視: 物を立体的に捉える能力を検査します。
・融像: 左右の目で見た像を一つに統合する能力を調べます。
これらの検査を通して、眼精疲労や複視(物が二重に見える)、斜視などの原因を探ることがあります。


1. 基本的な屈折検査と視力検査について
左右の目で見た情報を脳で統合する、両眼視機能。この検査では、その働き具合を詳しく調べます。
具体的には、以下のような項目を評価することがあります。

視力
左右それぞれの視力はもちろん、両目で見たときの視力も測定します。
・ 眼位: 左右の目の位置関係を調べ、ずれがないか、斜位がないかなどを確認します。
・眼球運動: 左右の目がスムーズに連動して動いているか、注視や追跡運動に問題がないかを調べます。
・輻輳・開散: 目を内側や外側に寄せる力(輻輳)、外側に開く力(開散)を測定します。近くのものを見る際に重要な機能です。

立体視
物を立体的に捉える能力を検査します。
・融像: 左右の目で見た像を一つに統合する能力を調べます。
これらの検査を通して、眼精疲労や複視(物が二重に見える)、斜視などの原因を探ることがあります。


2. 眼位(目の向き)に関する検査
カバーテスト(遮閉試験)
1. 眼位検査としての角膜反射法
ペンライトなどの光源を両眼に当て、角膜に映る光の反射像の位置を観察することで、眼位(左右の目の向き)のずれを評価する検査です。
原理
正常な眼位であれば、両眼の角膜のほぼ同じ位置(瞳孔の中心付近)に光の反射像が見られます。眼位にずれ(斜視や斜位)があると、片方の目または両目の反射像が中心からずれて見えます。ずれの方向や程度から、どの方向にどの程度の眼位ずれがあるかを推測できます。

検査方法
・検者は被験者の正面約30cmの位置に座り、ペンライトなどの光源を被験者の両眼に向けます。
・被験者には正面の一点を見つめてもらいます。
・検者は、左右それぞれの角膜に映る光の反射像の位置を観察します。
・必要に応じて、片目を交互に隠したり(遮閉試験)、プリズムという特殊なレンズを用いたりして、より詳しく眼位の状態を調べます。

利点
・ 簡便で非侵襲的な検査です。
・比較的短時間で実施できます。
・小児や協力が得にくい患者にも行いやすいです。
・大まかな眼位のずれを把握するのに適しています。
欠点:
・ずれの程度を正確に数値化することは難しいです。
・小さな眼位ずれや潜伏性の眼位ずれ(斜位)の検出には限界があります。

臨床応用
・斜視のスクリーニング評価
・斜位の有無の確認
・眼位ずれによる複視や眼精疲労の評価

2. 脳神経(三叉神経、顔面神経)の反射検査としての角膜反射
綿棒の先端などを角膜に軽く触れることで、まばたきが起こるかどうかを調べる神経学的検査です。

原理:
角膜への刺激は、三叉神経を介して脳幹に伝わり、顔面神経を介して眼輪筋が収縮し、まばたきが起こります。
この反射が正常に起こるかどうかを確認することで、これらの神経系の機能を評価します。

検査方法
・被験者に上方を見てもらい、角膜に検者の指または綿棒の先端をそっと近づけます。
・角膜の端に軽く触れ、まばたきが起こるかどうかを観察します。
・左右の目を別々に検査します。

利点
・ 脳幹の機能評価に有用です。
・三叉神経(眼神経)と顔面神経の異常の検出に役立ちます。
・意識レベルが低い患者や新生児などにも実施可能です。

欠点
・刺激が強すぎると防御反応によるまばたきと区別がつきにくいことがあります。

臨床応用
・脳幹の障害(脳卒中、脳腫瘍など)の評価
・三叉神経麻痺、顔面神経麻痺の診断

意識障害の程度の評価
このように、角膜反射法は眼科領域と神経内科領域で異なる目的で用いられる検査です。
どちらの検査について知りたいかによって、より詳細な情報を提供できますので、再度お気軽にお尋ねください。

角膜反射法
角膜反射法(かくまくはんしゃほう)は、主に以下の2つの意味で用いられる眼科検査です。
1. 眼位検査としての角膜反射法
ペンライトなどの光源を両眼に当て、角膜に映る光の反射像の位置を観察することで、眼位(左右の目の向き)のずれを評価する検査です。

原理
正常な眼位であれば、両眼の角膜のほぼ同じ位置(瞳孔の中心付近)に光の反射像が見られます。眼位にずれ(斜視や斜位)があると、片方の目または両目の反射像が中心からずれて見えます。
ずれの方向や程度から、どの方向にどの程度の眼位ずれがあるかを推測できます。

検査方法
・検者は被験者の正面約30cmの位置に座り、ペンライトなどの光源を被験者の両眼に向けます。
・被験者には正面の一点を見つめてもらいます。
・検者は、左右それぞれの角膜に映る光の反射像の位置を観察します。
・必要に応じて、片目を交互に隠したり(遮閉試験)、プリズムという特殊なレンズを用いたりして、より詳しく眼位の状態を調べます。

利点
・ 簡便で非侵襲的な検査です。
・比較的短時間で実施できます。
・小児や協力が得にくい患者にも行いやすいです。
・大まかな眼位のずれを把握するのに適しています。

欠点
・ずれの程度を正確に数値化することは難しいです。
・小さな眼位ずれや潜伏性の眼位ずれ(斜位)の検出には限界があります。

臨床応用
・斜視のスクリーニング
・眼位ずれによる複視や眼精疲労の評価

2. 脳神経(三叉神経、顔面神経)の反射検査としての角膜反射
綿棒の先端などを角膜に軽く触れることで、まばたきが起こるかどうかを調べる神経学的検査です。

原理
角膜への刺激は、三叉神経を介して脳幹に伝わり、顔面神経を介して眼輪筋が収縮し、まばたきが起こります。
この反射が正常に起こるかどうかを確認することで、これらの神経系の機能を評価します。

検査方法
・被験者に上方を見てもらい、角膜に検者の指または綿棒の先端をそっと近づけます。
・角膜の端に軽く触れ、まばたきが起こるかどうかを観察します。
・左右の目を別々に検査します。

利点
・脳幹の機能評価に有用です。
・三叉神経(眼神経)と顔面神経の異常の検出に役立ちます。
・意識レベルが低い患者や新生児などにも実施可能です。

欠点
・刺激が強すぎると防御反応によるまばたきと区別がつきにくいことがあります。

臨床応用
・脳幹の障害(脳卒中、脳腫瘍など)の評価
・三叉神経麻痺、顔面神経麻痺の診断
意識障害の程度の評価
このように、角膜反射法は眼科領域と神経内科領域で異なる目的で用いられる検査です。

眼球運動検査

眼球運動検査は、左右の目が協調してスムーズに動いているか、また特定の方向への動きに制限がないかなどを詳しく調べる検査です。眼球運動に異常があると、複視(物が二重に見える)、眼精疲労、頭痛、めまいなどの症状を引き起こす可能性があります。
眼球運動検査は、目の筋肉や神経の異常、脳の病気などが原因で起こる眼球運動障害の診断や治療方針の決定に役立ちます。

眼球運動検査の種類
眼球運動検査には、様々な種類があり、目的や疑われる疾患によって使い分けられます。主な検査としては以下のようなものがあります。
・視診による眼球運動検査(9方向眼位検査など):
・ 検者が患者さんの目の動きを目で見て、各方向への動きのスムーズさや範囲、眼振(眼球の不随意な揺れ)の有無などを確認します。
・ 正面だけでなく、上下左右、斜めなど9つの方向への注視をしてもらい、それぞれの方向で眼位のずれや動きの制限がないかを評価します。

追跡眼球運動検査(滑動性追従運動検査)
・動く目標(検者の指やペンライトなど)をに目で追ってもらい、その際の目の動きのスムーズさを評価します。
・ 目標をゆっくり動かすことで、滑らかに追従できるかを確認します。

衝動性眼球運動検査(サッケード検査)
・ 二つの目標を素早く交互にに見てもらい、目標から目標へ素早く正確に視線を移動させる能力を評価します。
・目の動きの速さや正確さ、反応時間などを調べます。

視運動性眼振検査(OKN検査)
・ 縞模様などが連続的に流れる映像を見てもらい、それによって誘発される眼振を観察します。
・ 脳の特定の部位の異常や、潜在的な眼位ずれの評価に用いられます。

電気眼振検査(ENG)/ビデオ眼振検査(VNG/VOG)
・目の周りに電極や特殊なゴーグルを装着し、眼球の動きを電気的に記録したり、ビデオで撮影したりして、より詳細に眼振や眼球運動を解析します。 めまいの原因となる内耳の機能異常や、中枢神経系の異常を調べる際に重要な検査です。温度刺激検査(カロリック検査)などが含まれます。

ヘスチャート(Hess Chart)
* 赤と緑のフィルターのついた眼鏡をに装用してもらい、赤い光と緑の光の位置関係を各注視方向で答えてもらうことで、眼球運動の制限や麻痺のある筋肉を特定します。
・ 複視の原因となる眼筋麻痺の診断に有用です。

眼球運動検査でわかること
眼球運動検査によって、以下のようなことがわかります。
・眼球運動のスムーズさと正確さ: 目が目標をスムーズに追えているか、素早く正確に視線を移動させることができているかなどを評価できます。
眼球運動の範囲
各方向への目の動きに制限がないかを確認できます。
・眼振の有無と種類: 眼球の不随意な揺れ(眼振)の有無、方向、頻度などを観察し、その原因疾患の診断に役立てます。
・斜視や斜位の有無と程度: 眼位のずれが眼球運動にどのような影響を与えているかを評価できます。
・複視の原因となる筋肉の麻痺: 特定の方向に見た際に複視が強くなる場合、どの筋肉の動きに異常があるかを推測できます。
・内耳や脳の異常: 特にENG/VNG検査では、めまいの原因となる内耳の機能低下や、脳幹、小脳などの異常を示唆する眼球運動のパターンを検出できます。

眼球運動検査の方法
上記のように様々な検査方法がありますが、基本的な視診による眼球運動検査は、検者の指示に従ってが目を動かすことで行われます。他の特殊な検査では、電極やゴーグルの装着、特定の映像を見るなどの準備が必要になる場合があります。
検査時間は、検査の種類や目的によって数分から数十分程度かかることがあります。

顔の正対性
目標に対して顔がまっすぐ向いているか、頭を傾げていないかなどを観察します。斜位などがあると、首を傾げて見ていることがあります。


3. 調節・輻輳に関する検査

輻輳近点の検出
目標物を被験者の鼻に近づけていき、両目で一点を見続けることができる最短距離(輻輳近点)を測定します。目が寄せる力(輻輳力)の指標となります。

輻輳・開散運動の両眼の協調性
目標を寄せたり、遠ざけたりする際に、両眼が同じ動きを協調して行えるかを確認します。

調節に対する調節性輻輳量の算出
ピント合わせの力(調節力)と、それに伴って目が寄る力(調節性輻輳)のバランスを評価します。


4. 両眼視機能の質に関する検査(特殊な機器を用いることが多い)
これらの検査では、多くの場合、特殊なメガネ(偏光レンズや赤緑メガネなど)を装用し、左右の目に異なる情報を見せることで、脳がどのようにそれらを統合しているかを評価します。
立体視検査
チトマスステレオテスト / ラングステレオテスト: 偏光レンズメガネや特殊な図形を用いて、立体的に見えるか(深視力があるか)を確認します。視差(左右の目に映る像のわずかなずれ)をどの程度認識できるかを調べます。
ポラテスト(偏光レンズを用いた検査)
・十字テスト: 偏光レンズを通して十字が見える図形を使用し、左右の目の向きや安定性を確認します。
・コの字テスト: 左右の目に映る像の大きさや高さが合っているか(不等像、上下斜位など)を評価します。
・時計テスト: 左右で像が傾いて見えないか(回旋斜位など)を評価します。
・これらの検査は、左右の目のズレ(斜位)を詳細に分析し、プリズムレンズによる矯正の必要性を判断するために特に重要です。
ワース4灯法
赤と緑のメガネを装用し、4つの光(白、赤、緑、緑)がいくつ、どのように見えるかを答えさせることで、以下の状態を評価します。
・融像: 左右の情報を一つに統合できているか。
・抑制: 片方の目を無視して見ている(抑制)状態がないか。
・複像: 物が二重に見えている(複視)状態がないか。


大型弱視鏡(シノプトフォア)
視線のズレの角度や両眼視機能の質(融像力、立体視、同時視など)を詳細に測定できる機器です。両眼視機能の訓練にも用いられます。

残像検査
特定の光を見た後の残像の位置から、網膜の対応関係(左右の網膜が正しく対応しているか)を調べます。

検査を受ける場所と費用
両眼視機能検査は、主に以下の施設で受けることができます。
・眼科: 医療機関として、目の病気の診断や治療と合わせて両眼視機能の評価も行います。
・両眼視機能検査に力を入れている眼鏡店: 多くの眼鏡店では一般的な視力検査を行いますが、専門的な知識と機器を持つ眼鏡店では、より詳しい両眼視機能検査を行い、適切なメガネの処方につなげてくれます。特に「ドイツ式両眼視機能検査(ハーゼ理論)」や「米国式21項目検査」などを採用しているところもあります。

費用
両眼視機能検査は、検査項目や施設によって異なりますが、自費診療となる場合も多いです。
一般的な目安としては、数千円から1万円程度かかる場合があります。眼鏡店で行われる場合は、眼鏡の購入費用とセットになっていることもあります。
両眼視機能に問題がある場合の症状
両眼視機能に問題があると、以下のような症状が現れることがあります。
・物が二重に見える(複視)
・距離感や遠近感がおかしい、つかみにくい
・立体感がつかみにくい
・読み書きの際に文字がにじむ、行を飛ばす
・パソコン作業などで目が疲れやすい、見えにくくなる
・肩こりや頭痛
・柱やドアにぶつかりやすい
・スポーツでボールがうまく捉えられない
これらの症状に心当たりがある場合は、一度両眼視機能検査を検討してみると良いでしょう。
両眼視機能検査は、単に「見える」ことだけでなく、「正しく、快適に、両目で見る」ための重要な検査です。適切な検査を受けることで、日常生活の質の向上が期待できます。
1・両眼視機能検査
両眼視機能とは、両眼で見たものを一つにまとめる機能をいいます。
この両眼視機能は、基本的な両眼視機能が正常に機能しているかなどを検査します。(立体視・立像視・融像視)
2・「カバーテスト」
カバーテストとは、カバーで目を閉ざすと目は見る位置や対象物を失います。そのため、目は自然な位置に移動します。突然閉ざしたカバーを外した目は瞬時に対象物を認識しようと視線を戻そうとします。これら融像除去を用いることで眼が外側へ寄る場合は「外斜位」(隠れ外斜視)眼が内側に寄る場合を「内斜位」(隠れ内斜視)と判別できることから、眼球の視軸が潜在的にずれていないかなども確認します。(斜位=斜視の有無)
4・「十字テスト」 斜視の有無を調べます

十字テスト

眼球筋の動きやバランスに異常がある場合など、縦横の線の十字はズレて見えます。
この場合には、プリズムを用いて正しい位置に矯正を行います。
また、コンタクトレンズ矯正では、コンタクトを装用させプリズム矯正を行います。
これら検査は、眼精疲労や目の負担軽減に大きく役立ちます。
5・ 不等像視(コの字)テスト

 不等像視(コの字)テスト

左右同じ大きさに見える=異常なし。
片眼のコの字が1幅位小さい=異常あり。
(一例)右眼の像を約3.5%大きくすると左眼と等しくなるなどの矯正を行います。
6・ 回旋斜位(時計)テスト

 回旋斜位(時計)テスト

傾きがない= 回旋偏位なし。
内側(鼻側)に傾いた場合 = 時計の針が見える眼の外方向 
回旋斜視(位)外側(耳側)に傾いた場合= 時計の針が見える眼の内方向
高回旋斜視(位) から正しい状態に矯正を行います。
7・「立体視テスト」

立体視テスト

立体視とは、対象物を立体的にみる機能を確認する検査となります。

8・「効き目テスト」

効き目テスト

効き目は通常、手や足と同じようによく使う側の目を効き目といいます。また、顕微鏡や双眼鏡など覗く際には意識的に片目で見ることから効き目を使います。
一方、優位眼は両眼視で見る際、左右のどちらを優先して見ているのか、左右同じ程度を使って見ているのかを確認する検査となります。
なぜ効き目があるのか?
これは、人類の進化と脳が関係しているのではないかという仮説が考えられています。考古学のデータから推察すると、5000年前の人間は、右利きが9割だったようです。時代をさかのぼり、 200~250万年前の原人類では、石器の作りから推察すると、右利きが59%なのだそうです。人類の進化をもっとさかのぼるために サル・チンパンジーを研究すると、50%が右利きで、50%が左利きだそうです。人類が進化するなかで、なぜ、右利きが多くなったのでしょうか。次のような説が考えられています。私たちがものを見たり、 手を動かしたりするとき、動かすほうの反対の脳が指令を出します。たとえば、右手を動かすときは、左脳から指示がでます。 しかし、言葉をつかさどる「言語野」は、脳の左半球にあります。進化のなかで、人類は、言葉を話すことを覚えました。また、使う道具も進化し、洞くつに住む生活から、家を建てたり、ピラミッドのような大きな建造物を作るようになりました。 複雑な道具を使い、協力して作業をするには、頭の中で考え、仲間に伝えるために言葉にする必要がありました。この、言葉と道具の発達により、言語野のある左脳が強化された結果、右手の運動能力が高まったのではないかと考えられています。 そして、目も、手と同じ理由で、右のほうが利き目となる割合が高くなったのではないかと考えられています。では、左目が利き目だったり、左手が利き手の人はどうなのでしょうか。右脳は、空間的、音楽的、情緒的情報処理にすぐれているといわれています。 左利きの天才は、芸術分野に多いといわれていますので、芸術的な才能がある方が多いのかもしれませんね。
なぜ効き目があるのか?
西山賢一著、風濤社 ニデック 目のお話し~