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眼底検査


眼底検査

眼底検査は、私たちの目の最も奥にある非常に重要な部分、「眼底(がんてい)」の状態を詳しく調べる検査です。眼底には、主に以下の3つの要素があります。

網膜(もうまく)
これはまさに「カメラのフィルム」の役割を果たす部分です。目に入ってきた光を感知し、その情報を電気信号に変えて脳に送ることで、私たちは物を見ることができます。鮮明な視界を保つためには、網膜が健康であることが不可欠です。網膜に異常があると、視力低下や視野の欠けなどの症状が現れます。

視神経(ししんけい)
網膜で電気信号に変えられた視覚情報は、この視神経を通って脳へと伝えられます。視神経は、言わば「情報のケーブル」のようなものです。視神経が障害されると、たとえ網膜が健康でも脳に情報が届かなくなり、視力や視野に影響が出ます。緑内障は、この視神経が傷つく病気です。

血管(けっかん)
網膜や視神経に栄養や酸素を供給している細い血管が網の目のように走っています。


なぜ「体内で唯一、血管の状態を直接観察できる部位」なのか?

体の中には血管が全身に張り巡らされていますが、皮膚の下や臓器の奥にあるため、通常は直接目で見てその状態を確認することはできません。しかし、眼底の血管は、外から光を当てるだけで直接、リアルタイムで観察できるという、非常にユニークな特徴を持っています。
この特徴が、眼底検査を単なる目の検査にとどまらない、全身の健康状態を把握するための重要な手がかりにしています。


目の病気だけでなく、全身の病気の早期発見につながる理由

血管は全身につながっている: 眼底の血管は、全身の血管網の一部です。そのため、高血圧や糖尿病といった全身の病気によって血管に異常が生じると、その変化は眼底の血管にも現れやすいのです。
「全身の鏡」としての眼底: 例えば、高血圧が続くと血管は硬く、細くなったり、出血しやすくなったりします。これらの変化は、眼底の血管に「血管が細くなる」「血管がねじれる」「出血する」といった形で現れます。医師はこれらの変化を見ることで、脳や心臓など他の部位の血管にも同様の異変が起きている可能性を推測できるのです。
無症状での発見: 多くの全身疾患は、初期段階では自覚症状がほとんどありません。しかし、眼底検査では、症状が出る前に血管の異常を見つけることができるため、病気の早期発見と早期治療につながり、重症化を防ぐことができます。
このように、眼底検査は目の健康を守るだけでなく、全身の健康状態を知るための「窓」のような役割を果たしています。定期的に検査を受けることで、自覚症状のない病気の兆候を早期に捉え、適切な対応を取ることが可能になります。


検査でわかること

眼底検査では、主に以下のことがわかります。

目の病気
・緑内障: 視神経乳頭の陥凹拡大などから、緑内障の兆候を早期に発見できます。日本人の失明原因の第一位とされており、早期発見が非常に重要です。
・糖尿病網膜症: 糖尿病による高血糖が長く続くと、網膜の毛細血管に瘤ができたり出血したりすることがあります。眼底検査でこれらの変化を確認し、糖尿病網膜症の進行度を把握できます。
・加齢黄斑変性: 黄斑部の異常(出血、剥離、孔など)を検出できます。
・網膜剥離: 網膜が剥がれた状態を直接確認できます。
・眼底出血・網膜出血: 出血の有無や原因(糖尿病、高血圧など)を特定します。
・白内障: 眼底が見えにくい場合に、白内障や硝子体混濁などが原因であると分かることがあります。
・網膜静脈閉塞症: 網膜の血管が詰まる病気を診断できます。

全身の病気
・高血圧: 網膜の血管の状態から動脈硬化の程度を判断し、高血圧による血管への影響を把握できます。
・動脈硬化: 血管の状態から動脈硬化の進行具合を推測できます。
・脳腫瘍: まれに眼底検査で鬱血乳頭などの所見が見つかり、脳腫瘍が疑われることもあります。


検査方法
一般的な眼底検査は、眼底カメラを用いて行われます。
・暗い部屋で、眼底カメラの顔受け台にあごを乗せます。
・目を大きく開いて、レンズの中にある緑色の点を見ます。
・フラッシュの光で写真撮影が行われます。

散瞳(さんどう)眼底検査
より詳しく眼底を調べる必要がある場合や、無散瞳では十分に観察できない場合(白内障が進行しているなど)には、散瞳剤という目薬を点眼して瞳孔を広げる散瞳眼底検査が行われます。

「検査の注意点」
散瞳眼底検査の場合:
・散瞳後は数時間にわたり光に敏感になったり、手元が見えにくくなったりすることがあります。
・検査当日は、車の運転や精密作業は控えるのが望ましいです。公共交通機関を利用するか、付き添いの方に来てもらうことをおすすめします。
・まぶしさ対策として、サングラスや帽子を持参すると便利です。
・緑内障の一部(閉塞隅角緑内障など)では、眼圧が急激に上昇する恐れがあるため、事前に医師に相談が必要です。

アレルギーや薬の副作用:
・散瞳薬や麻酔薬、消毒薬などにアレルギーがある場合は、必ず事前に医師やスタッフに伝えましょう。


費用

保険診療の場合、眼底カメラ撮影は約1,760円程度(3割負担)、光干渉断層計(OCT)は約1,200円程度(3割負担)が目安となります。散瞳検査など他の検査を組み合わせる場合は、もう少し費用がかかることがあります。健康診断や人間ドックに含まれる場合は、各施設によって費用が異なります。
眼底検査は、自覚症状がない段階で目の病気や全身の病気の兆候を発見できるため、定期的に受けることが推奨されています。特に40歳を過ぎたら、定期的な検査が大切です。