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Topic 23. 【老眼】40代で発症、進行を緩やかにする対策5つ 


40歳前後の働き盛り世代でも、最近、手元の文字が読みづらい、本を読むのがおっくうになった、デスクワークの後は目の奥がズーンと重くなって目薬が手放せない……などの症状が出はじめたら、「老眼」はもう他人事ではない。

実は老眼はシニア世代がなるものではないという。老眼のおもな症状や発症のメカニズム、対策や予防について、長年、老眼患者を診療してきた眼科医の梶田雅義医師(梶田眼科院長)に話を聞いた。
まだまだ体力にも自信のある働き盛りの40代。長時間のデスクワークなどで視力の衰えを感じていても、それが老眼であると自覚する人は少数派だろう。しかし、スマホやパソコン、タブレットなどのデジタル機器を1日中見続け、目を酷使しがちな昨今、眼精疲労を訴える人は急増しており、それに比例して老眼症状に悩む人の若年化も進んでいる。

「35歳以降で、手元が見えづらい、本を読むのが以前よりもおっくうになった、会話中にメガネを外すようになった、などを自覚しはじめたら、老眼がすでに進行している可能性があります」と、梶田医師は指摘する。

そもそも老眼とは、眼のピントを合わせる「調整機能」が加齢によって衰えていく生理現象だ。とくに影響を受けるのは、目の中でカメラのレンズのような働きをしてピント合わせの役割を担う水晶体だという。加齢によって、水晶体は弾力を少しずつ失い、硬くなっていく。

水晶体の厚みを薄くしたり厚くしたりしてピント合わせをしているのは、毛様体(もうようたい)筋という目の中の筋肉だ。毛様体筋が緊張すると、水晶体が厚くなって近くにピントが合う。逆に弛緩すると、水晶体が薄くなって遠くにピントが合う。
30代から始まり、40代で自覚
ところが、毛様体筋が頑張って縮んでも、加齢によって弾力を失った水晶体は厚みを変化させる調整力を失っており、十分に厚くならなくなる。そうすると近くにピントが合わず、「手元が見えづらい」といった老眼の初期症状が出はじめるのだという。

「男女問わず、一般的に老眼は30代ぐらいから始まって、43~45歳で症状を自覚することが多いです。長年、患者さんを診てきた経験からいえば、近視・遠視にかかわらず、多くの人が44歳6カ月を境に『何かおかしい』と老眼を自覚し始めます」(梶田医師)

老眼になにか前兆はあるのだろうか。梶田医師によると、初期にはよく、「夕方老眼」と呼ばれる症状が見られるという。

「夕方ごろ、近くを長い間見た後に遠くを見ると、遠くがかすんで見えるといった症状が出やすい。そうなったら、老眼が進行しはじめていると思ってよいでしょう」

さらに、下記の老眼度チェック項目をみてほしい。40歳以上でこの中の1つでも当てはまれば、老眼が進んでいる可能性があるという。

こうした症状を放置していると、どのような不都合があるのだろうか。

老眼の放置で自律神経が乱れる
「老眼による眼精疲労の症状がピークをすぎると、体調不良となって体に別の症状が表れることがあります」(梶田医師)

老眼が体調に影響する理由は、目のピント調節には自律神経が大きく関わっているためだ。自律神経には交感神経と副交感神経がある。

どこを見るともなくボーッと見ているときにピントが合っているところを「調節安静位」という。個人差はあるが、おおむね1メートルぐらいの位置にあり、それ以上遠いと遠視、近いと近視だ。そして、調整安静位より遠くにピントを合わせるときは交感神経が、近くにピントを合わせるときは副交感神経が働く。

「これは昔の狩猟生活が関係しています。獲物をとるために遠くを見るときに活動モードになっているのです」と梶田医師。

だが、これが現代では逆転している。仕事も生活も活動モードになる状況は、遠くよりも比較的近距離を見ているときに発生する。

なかでもデスクワークの場合、パソコンやスマホまでの距離は15~75センチと調節安静位よりも近くにあり、視点合わせという意味では副交感神経が活発に働いている。仕事をアクティブにこなすため体では交感神経が働いているのに、目だけは副交感神経が働いているという、ちぐはぐな状況が起こっているのだ。

長時間スマホやパソコンを見ることで、自律神経ではアンバランスな状態が続く。その結果、老眼の症状や目の疲れに加えて、頭痛や肩こり、眼の奥の痛み、さらにひどくなると、倦怠感やうつ状態など体全体の不調に影響することもあるという。

最近は、加齢による老眼とは別に、10~20代の若者にもスマホの使いすぎによる「スマホ老眼」が増えている。眼を酷使することによって、毛様体筋が凝り固まってうまく働かず、一時的に近くが見えにくくなる症状だ。この場合、「老眼」とはいっても、加齢による老眼とはまったく別のものだ。

「とくにコロナ禍以降、室内にいることが増え、近くばかりを見てあまり遠くを見ない生活を余儀なくされた結果、10歳以下の子どもも含むすべての年齢でスマホ老眼が増えています」(梶田医師)

スマホ老眼の場合は基本的に一過性の症状であるため、正しい目の使い方をして、毛様体筋のコリをほぐすことができれば、8割程度の人は回復するという。

これに対し、加齢による老眼は基本的に治すことはできない。60歳ぐらいで水晶体の厚さはほぼ固定されるため、その頃には進行はほぼ止まるが、それまでは水晶体の弾力は徐々に失われ、進行していく。

今からでもできる老眼対策
それでも、老眼初期の段階から対策を講じることができれば、その進行を緩やかにすることは可能だという。梶田医師が勧める老眼対策は以下の5つだ。

①については、40歳前の老眼症状の出始めから使うのが理想だ。正しく調整されたメガネやコンタクトレンズは目の疲労を防ぎ、老眼の進行を緩やかにできるという。

「老眼があまりに進んでしまってからでは、視界が歪んで見えたり、ピントが合いにくかったりすることもあります。できるだけ初期のうちから早めに使って慣れておくほうがいいでしょう」(梶田医師)

②はスマホ老眼の視力回復にも有効とされる目のストレッチだ。

具体的には、視線を手元からギリギリピントが合う遠い位置まで動かし、遠い位置でピントが合ったら視線を手元に戻す。これを10分に1回程度、1~2秒行う。すると、ピントを合わせるために毛様体筋と水晶体が動き、毛様体筋の中の血管も伸び縮みする。血液の循環が良くなり、疲れがたまりにくくなる。

「10分に1回、天井を見上げるのがお勧めです。上を見ると首が伸び、頸部にある交感神経叢が伸びて交感神経を刺激します。自律神経のバランスも整います」(梶田医師)

③は、鮭、イクラ、エビ、カニなどに多く含まれる「アスタキサンチン」と、くちなしの実の黄色い色素「クロセチン」だ。これらは抗酸化作用が強く、体の血流を良くして目の疲労を取ってくれる。

ほうれん草やブロッコリー、かぼちゃ、にんじんなどに含まれる「ルテイン」も網膜に作用し、目の疲労回復を早め、老眼の発症を遅らせることが期待できる。これらを食事で摂取するのが難しい場合は、サプリメントを活用してもOKだ。

④はストレッチでも足踏みなどの軽い運動でOK。全身の血行改善は目の血行改善、疲労回復にもつながる。目のストレッチとあわせて日課に取り入れてみよう。

⑤の目薬は、ピント調節をスムーズにしてくれる効果のある「ネオスチグミンメチル硫酸塩」や、目の疲れを取る効果がある「ビタミンB12」が含有されたものがお勧め。用法用量を守って使いたい。

レーシックは老眼になりやすい?
昨今は近視矯正のためにレーシック手術を受ける人も増えているが、「レーシックは老眼になりやすい」という情報もよく耳にする。それについてはどうだろうか。

「まず、レーシックによって、近くも遠くもよく見える目には残念ながらなりません。遠くは見えるようになっても近くを見るのがつらくなってしまう。生涯、遠くだけを見て過ごせるならいいですが、スマホを見ないと生活ができないような現代ではデメリットのほうが大きい。老眼にもなりやすいので、私は勧めていません」(梶田医師)

レーシック後、ものが二重に見える複視やドライアイになった、などの報告もある。とくに夜間視力が悪くなり、夜の光が流れて見えるようになるため、夜間に運転が必要なドライバーなどは仕事にならなくなってしまうケースもある。職業によっては安易なレーシック手術は要注意だ。老眼が進んだ場合にはコンタクトなどは使えないため、メガネが必要になる。

老眼症状が出はじめたら、まずは早めに眼科医を受診し、遠近両用のメガネやコンタクトレンズを検討することが大切だ。最新のメガネ・コンタクトレンズ選びについてはこの後、解説する。

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(取材・文/石川美香子)