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Topic 20. コンタクトレンズの欠品相次ぐ


ジョンソン・エンド・ジョンソンの1日使い捨て
コンタクト「ワンデーアキュビュートゥルーアイ」
(本江希望撮影)

使い捨てコンタクトレンズの一部商品で欠品が相次ぎ、利用者から不安の声が広がっている。新型コロナウイルスやロシアによるウクライナ侵攻などの影響で、昨年から大手メーカーの製品の一部の度数が購入できない状況が続いている。利用者が欠品に気づかないケースも多く、販売店などが対応に追われている。

ジョンソン・エンド・ジョンソンの1日使い捨てコンタクト「ワンデーアキュビュートゥルーアイ」(本江希望撮影)

使い捨てコンタクトレンズの一部商品で欠品が相次ぎ、利用者から不安の声が広がっている。新型コロナウイルスやロシアによるウクライナ侵攻などの影響で、昨年から大手メーカーの製品の一部の度数が購入できない状況が続いている。利用者が欠品に気づかないケースも多く、販売店などが対応に追われている。
1年前から欠品、再開は春ごろに…
製品の一部度数に欠品が出ているメーカーは、ジョンソン・エンド・ジョンソンビジョンケアカンパニー(東京都千代田区)、ボシュロム(カナダ)、クーパービジョン(米国)、メニコン(愛知県名古屋市)、アルコン(スイス)など。

メニコンでは、1日使い捨てタイプの「1DAYメニコン プレミオ」シリーズの一部度数で欠品が出ている。同社によると、新型コロナウイルスの行動制限緩和で注文が想定を上回って生産能力を超過。生産能力増強のため設備投資を進めていたが、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で電子部品調達に支障が出たため、需要拡大に対応できていないという。

メニコン広報によると、欠品は昨年8月から続いているといい、「春ごろから、徐々に供給を再開する予定」としている。

アルコンは、2週間タイプの「エア オプティクス プラスハイドラグライド マルチフォーカル」と「エア オプティクス プラスハイドラグライド 乱視用」の一部度数で欠品が出ている。日本アルコンの広報は、「製造工場があるマレーシアで新型コロナウイルスのパンデミックで減少した外国人労働者の再受け入れに想定以上の時間を要している」と説明。労働力の回復が遅れていることから、製造する数量が計画を下回る状況が継続し、約1年前から欠品が続いているという。

供給状況の改善に向け、「流通加工の一部を日本で実施し、近隣国に一部製品の製造を一時的に移管するなど対応を進めている。製造と製品供給の完全回復には、しばらく時間を要する」(広報)という。

1日使い捨てタイプの「ワンデーアキュビュートゥルーアイ」や「ワンデーアキュビューモイスト」などの一部度数が欠品しているジョンソン・エンド・ジョンソンビジョンケアカンパニーは産経新聞の取材にメールで回答し、欠品の理由について「以前より続く物流の混乱や世界的な需要の増加により、製造と入荷に遅れが生じた」と明かし、「お客様にはご不便をおかけしておりますが、早期入荷に向けた対応を鋭意進めておりますので、ご理解のほど何卒よろしくお願い申し上げます」としている。
販売店は対応に奔走
販売店も欠品の対応に奔走している。福島県伊達市で眼鏡やコンタクトレンズを販売する「てぃあめがね 伊達店」では、顧客が使用している商品に欠品がある場合、事前連絡するようにしている。店長の阿部勉さんによると、メーカーから送られてくるファクスの欠品リストは増えつつあるという。突然欠品になることもあるといい、「ここまで欠品が広がるのは、初めてだ」と語る。
客からは、これまで使い続けてきたレンズが購入できない状況に、「そんなことがあるの?」「どうしたらいいの?」といった声もあった。阿部さんは、「欠品に関して周知されておらず、困っている人は多いのではないか」と懸念する。
自己判断しないで
コンタクトは、ペースメーカーや人工心臓弁と並ぶ「高度管理医療機器」に分類される。薬機法上では、処方箋の提出の法的義務はないが、日本コンタクトレンズ協会の「コンタクトレンズ販売自主基準」により、「眼科医の処方・指示に基づく販売」が推奨されている。

眼科での計測によって度数(PWR)やレンズの曲がり具合「ベース(BC)」、直径(DIA)のほか、コンタクトの素材、目に酸素を届ける「酸素透過性」、レンズに含む水分量を示す「含水量」などから判断し、自分に合ったコンタクトを選ぶ。

コンタクトレンズ販売店を併設する三重県松阪市の眼科クリニック「カイバナ眼科クリニック」では、欠品によって客が代替の製品を購入する場合、いくつか選択肢を提案し、トライアル用コンタクトレンズを実際に装着、合うものを見つけていく。同眼科のゼネラルマネージャー、鈴木雅博さんは、「合わないレンズを使い続けると、弊害が出る可能性ある」として、眼科での処方を呼びかけるとともに、メーカー側には1日も早い欠品の解消を訴える。

日本コンタクトレンズ協会の事務局長、松見明さんも、代替のレンズを選ぶ場合は自己判断せず、必ず眼科に相談して選んでほしいと呼びかける。「同じメーカーでもブランドが違うと形状や素材が変わり、同じ度数でも合わないことがある。カーブがきついと、目に張り付いて充血など眼障害が起きることもある」と警鐘を鳴らす。

日常生活に欠かせないコンタクトレンズ。メーカーによる早期の安定供給とともに、利用者自身も計画的かつ安全な利用が求められている。(本江希望)

啓発リーフレットより(日本コンタクトレンズ協会提供)