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Topic 73. 認知症と視力に関連性?眼疾患の治療が予防策になる可能性も


認知症は、世界中の医療システムや家族、一部のコミュニティにかつてないほど多大なストレスをかけている問題。ますます深刻化するこの問題について、米疾病対策センター(CDC)は、アメリカでは2060年までに、およそ1400万人がアルツハイマー型認知症と診断されることになると予想している。

研究者たちが、認知症や記憶の喪失を伴うその他の疾患の予防方法の確立を急いでいるのはそのため。

疾患のリスク要因のうち、「修正が可能なもの」は、問題の積極的な解決策と捉えることができる。米医師会(JAMA)が発行する医学誌『JAMAニューロロジー(神経学)』に掲載された研究結果によると、認知症のリスク要因のひとつである視覚障害(眼疾患)に対応することは、認知症の発症を予防する方法のひとつとして、特に注目すべきものとのこと。

発表された新たな論文は、アメリカの約2万人を対象に行われている加齢に関する追跡調査『Health and Retirement Study(健康と退職に関する研究)』に示されている2018年のデータをもとに行ったメタ分析の結果をまとめたもの。それによると50歳以上の成人1万6690人のうち、認知症と診断された人のおよそ1.8%に、眼疾患があったという。

各国の認知症の研究者からなる「ランセット委員会」はこの結果について、小さな割合ではあるものの、認知症の予防に関する進歩と今後への希望を示すものだと指摘している。

特に、認知症の場合は「あまり教育を受けていないこと」や「運動不足」、「社会的接触が少ないこと」、「聴覚障害」などがすでに修正可能なリスク要因であると特定されていることから、これらのすべてに対策が講じられれば、予防できる可能性はさらに高まるとみられている。

JAMAに掲載された論文の著者らは、ランセット委員会が作成しているリスク要因のリストに、眼疾患を加えることを提案している。

眼疾患と記憶障害の関連性とは?

論文の共著者のひとり、カリフォルニア大学サンフランシスコ校ワイル神経科学研究所のフリオ・ロハス博士は、「神経系の機能は、感覚器官からの刺激によって維持されるものです」と説明する。視覚からの刺激がなくなったり、損なわれたりすると、脳の神経細胞(ニューロン)が死んでいき、脳が再構成されます」とのこと。

2020年に『Aging & Mental Health』(加齢とメンタルヘルス)に発表されたメタ分析(16本の論文を分析、調査対象者は合計7万人以上)の結果でも、眼疾患と認知機能低下リスクの関連性が示唆されている。

視力を失うことは多くの場合、同時に人との付き合いを難しくすることでもある。そのこともまた、認知症のリスクを高める要因となることも、指摘しておくべき点といえる。

認知症の予防につながる?

JAMAに発表された研究結果によると、眼疾患が確認された人のうち約90%は、予防可能な疾患であるか、治療を受けていない状態の人だったという。さらに、眼疾患の治療は長期のケアが必要になる認知症などと比べて費用対効果が高いことや、未治療でいる人が多いことがわかっている。

つまり、認知症の人のうち1.8%を占めた眼疾患がある人たちは、認知症の発症を防げた可能性があるということになる。そして、認知症は今後、予防できるようになる可能性があるということでもある──これは、私たちすべてにとての良いニュースといえそう。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

From Prevention

KAYLA BLANTON
Kayla Blanton is a freelance writer who reports on all things health and nutrition for Men’s Health, Women’s Health, and Prevention.