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Topic 43. 人生100年時代「目の寿命は65~70年」


 加齢が引き起こす体の不調。放置していれば、取り返しのつかない事態を招くこともある。「プレジデント」(2018年1月1日号)より、9つの部位別に、名医による万全の予防策を紹介しよう。第2回のテーマは「目」――。
他人事ではない「白内障」「緑内障」「糖尿病性網膜症」
 毎日のように手術に立ちあい、多くの患者と接してきた私の感覚では、目の寿命は65~70年です。平均寿命が延びたいま、自分のためにも家族のためにも、失明する前に手術なり処置が必要です。

最終的に失明の危険性もはらんでいる目の疾患で患者数が多いものに、「白内障」「緑内障」「糖尿病性網膜症」「加齢黄斑(おうはん)変性」「網膜剥離」などがあります。いずれの疾患も、片目ずつものを見たり、視力を測ることが少ないため、自分の片目だけに起こると、病気に気づかないことが多いのです。

「白内障」は加齢により目のなかの水晶体が濁る疾患です。患者数は年齢とともに増加しますが、眼科で「手術はもう少し後でいい」といわれることが多々あります。日本は手術を先延ばしにする傾向にありますが、30~40代でも薄く濁っている方もいます。白内障の視力検査をして、視力が落ちて不自由を感じたら手術適用、というのが世界の標準です。放っておくと水晶体が成長して大きくなり、隅角が狭くなり緑内障を起こすことがあるので、早めの白内障手術が世界的傾向です。

「緑内障」は日本人の失明原因第1位の疾患です。目から入ってきた情報を脳へ伝達する視神経が障害されて視野が狭くなります。

この緑内障と僅差で、日本で2番目に多い疾患が「糖尿病性網膜症」です。食後の血糖値とインシュリン分泌後の低血糖値の差が大きいほど悪化し、眼底出血や硝子体出血を繰り返し、網膜剥離で失明することがあります。

欧米の中途失明原因の第1位といわれているのが「加齢黄斑変性」で、日本でも患者数が急増しています。網膜の中心部にドルーゼンという老廃物が溜まって視力が落ち、新生血管や黄斑浮腫などでものが歪んで見えたりします。

「こうした病気の多くは高齢者に多いから、まだ自分には関係がない」と思う読者もいるかもしれません。しかし若年者でも網膜剥離になり、白内障になる方も増えています。

「網膜剥離」というと、目に大きな衝撃を負ったボクサーに多そうなイメージを持つかもしれませんが、アトピーや花粉症などで、無防備に目をかいたり、かゆすぎて叩いたりした結果、網膜がはがれてしまうケースも多いのです。
「目はむきだしの臓器である」という認識
まず、「目はむきだしの臓器」という認識を持ってください。軽くかくくらいなら支障はない、と思うかもしれませんが、石に水滴が1滴ずつ落ちていると数年で穴が開くのと同じで、“ちょっと触る”の積み重ねが、目の障害を引き起こすことは多い。網膜がはがれているのに気づかないまま半年以上が経っている患者もいます。目はむやみに触らないことです。

緑内障も糖尿病性網膜症も加齢黄斑変性も、目の疾患はすべて発見時期が遅れなければ、なにかしらの手術方法があります。ただ、日本は眼科手術後進国なので、技術や知識の少ない眼科医も多い。医師に手術数や術後の視力についてのデータを開示してもらい、手術後の視力が1.0は出ているかを基準に医師選びをするといいと思います。

▼紫外線カットのサングラスがいい

仕事でパソコンやスマートフォンを見る機会の多い読者のなかには、眼精疲労を軽減させる商品を愛用している人もいるかもしれません。しかし、「目にいい」商品の多くは、根拠がないものばかりです。

「風景の写真を見る」とか、「ピンホールメガネ」とか「3D絵本」などで視力はよくなりません。目を激しく上下左右に強く動かす「眼球運動」や眼球へのマッサージは、硝子体線維が揺れて引っ張られることで、網膜が破け網膜剥離になる危険性があるので、絶対にやめましょう。

ブルーベリーやビルベリーのサプリメントも、アントシアニンに抗酸化作用があるだけで、目への効果は実証されていません。

ドラッグストアでは1000円以上する目薬も販売されていますが、市販の目薬で認められているのは、角膜保護剤とビタミン剤だけですから、いろいろ入っているわりに効きません。

目を保護している主な成分は、目から分泌されているたんぱく質成分の「ムチン」と脂なので、ドライアイ用にはムチンを増やす目薬を。医療機関で扱われていますから、眼科で処方してもらいましょう。目薬は処方、市販にかかわらず、角膜障害性のある防腐剤が少ないものを選び、1回使い捨て以外は、開封したら2カ月で捨てること。皮膚にはブドウ球菌が多いので、つけるときには上から垂らして、先端が皮膚に触れないことも大切です。
PC、スマホで酷使した目のケア方法
日常的に取り入れられる「目にいいこと」でおすすめなのは、屋外では紫外線100%カットの遮光メガネ(サングラス)をかけることです。可視光線で網膜に障害があるのは、ブルー系統の短い波長の光です。これを吸収するのが黄色い色素なので、レンズに薄い黄色系の色がついたメガネを選びましょう。

サングラスというと真っ黒いレンズを選びがちですが、瞳孔が開いてしまい、かえって周りからの反射光が通過してしまうので、レンズの色は薄いものを選んでください。

パソコンやスマホを見ることの多い人は、LEDのブルーライトを緩和するメガネは必須です。現代人はとかくスマホを見がちですが、時間があるときには、お湯につけたタオルを絞り、ビタミンBの入っている目薬を差して、目をつぶってから、タオルを目に載せて5分でも10分でもリラックスして目を休ませることも心がけてください。

コンタクトレンズ装用者には、自分が「患者」であるという認識を持っていただきたいですね。保存液を用いる2週間使用コンタクトなどでは、保存液のたんぱく除去や殺菌は期待できないし、水道水などを使うと感染症にもかかりやすい。洗浄液の代わりに水道水を使っていた患者が、水道水に含まれるアメーバー原虫による角膜炎にかかり、角膜移植が必要になったこともあります。管理をしなくていいという点では、1日使い捨てコンタクトが、安全性が高いと思います。

ハードコンタクトは角膜のカーブが変わってしまうので、角膜内障害になったり、レンズのエッジが目の挙筋の腱をこすり剥がして、瞼が下がる眼瞼下垂(がんけんかすい)になる人も多く見られます。

ハード、ソフトにかかわらず、コンタクトは必ず角膜への酸素不足になり、角膜の内細胞を破壊する可能性があります。1日最長でも8時間までを限度に、メガネを携帯し、少しでもおかしかったらコンタクトを外してください。

▼POINT!
・どこから始まる?
アトピーや花粉症で目をかくのも避けたほうがいい。片目で見たときに視力の低下、ものがぼやける、色がおかしいと感じたら要注意。
・最悪の場合は?
病気を放置したり、技術のない眼科医を選ぶと失明に至ることも。早期に発見すれば、なにかしらの手術方法がある。
・予防・改善策は?
可視光線やブルーライトカットメガネの着用。目を休め、むやみに触らない。技術のある医師を探して定期的に診断を受ける。